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超高齢社会と介護の実情 - 健康科学の本棚「ProsperWell」

超高齢社会と介護の実情

介護予防

あなたの健康が、日本の健康

今回のポイント

  • 現在の日本の高齢化率は29.0%
  • 75歳以上の要支援または要介護認定者数は、およそ3人に1人
  • 毎年10万人近くが、介護を理由に離職している
  • 介護が必要になった主な原因は、認知症が18.1%、脳血管疾患が15.0%

 

2023年6月20日、内閣府より令和5年版高齢社会白書が公表されました。

これは高齢社会対策の一環として作成されるものであり、国会に対する年次報告資料です。高齢者の人口動態や介護に関するあらゆる情報がまとめられています。

全文は内閣府のホームページにて閲覧可能ですので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

⇒ https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2023/zenbun/05pdf_index.html

 

さて、今回は介護予防シリーズ第1回として、この資料をもとに社会的課題としての介護の実情を確認したいと思います。

具体的には、以下を整理していきます。

  1. 日本がおかれている状況
    •  高齢化率について
    •  要支援・要介護者の人数と、介護者の負担
  2. 課題と対策
    •  課題の抽出
    •  対策の検討

先に申し上げておくと、これは全員が当事者です。

無関係な人など存在しないということを念頭に、ご覧いただければと思います。

 


日本がおかれている状況

高齢化率について

高齢化率とは、総人口に対する65歳以上の割合を示します。

この割合が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、そして21%を超えると「超高齢社会」と呼ばれます。

国内の現状はというと、総人口は令和4年10月1日現在で1億2495万人であり、そのうち65歳以上の人口は3624万人です。したがって、高齢化率はなんと29.0%。超高齢社会の基準を楽々クリアしています。

ちなみに、高齢社会の基準である14%に到達したのは平成6年のことでした。

およそ30年くらいで割合は倍増したことになります。

一方、15歳から64歳の人口はというと、平成7年の8716万人をピークに、令和4年現在は7421万人となっています。これは総人口の59.4%を占めます。

つまり、現在の日本は65歳以上1人に対して現役世代2人の割合ということになります。

年金問題の話題で取り沙汰される画が思い浮かびますね。若い世代2人くらいで高齢者1人を担いでいるアレです。

 

そして今後の見通しです。

ご存知の通り、現在わが国の総人口は減少を続けています。対して65歳以上の人数はしばらく増加していき、令和25年頃から減少に転じる見通しです。

65歳以上の人数が減少傾向になれば状況は好転しそうにも思えますが、話はそう単純ではありません。

高齢化率はその後も上昇していき、令和52年には高齢化率は38.7%になることが推測されています。これは国民2.6人に1人が65歳以上ということです。

筆者も令和52年まで無事に生きていれば80歳です。80歳の自分の姿はいまいち想像できませんが、立派な後期高齢者であることは事実です。ホントに他人事ではありません。

 

要支援・要介護者の人数と、介護者の負担

さて、高齢化率の現状と今後の見通しを確認したところで、今度は介護の状況を確認していきます。

40歳以上の方は馴染みのあるものと思いますが、社会保険のひとつに介護保険というものがあります。

これは医療保険と同様、日本の介護費用を国民全体で支えようという仕組みですね。

40歳から公的介護保険に加入する義務が発生し、保険料を納めることになります。ここでは詳細は割愛しますが、保険料をしっかり納めていれば、要支援・要介護に認定されたときに介護保険サービスを自己負担額1割で利用できます。1割を除く残りは保険者(市町村)が負担しますが、この財源は公費(税金)と保険料です。

以上を踏まえて、ここで簡単な質問です。

Q.要支援又は要介護の認定者数が増加したら、介護費用は増えるでしょうか。それとも減るでしょうか。

A.もちろん増えます。つまり、納められた保険料や税金をどんどん消費することになります。

Q.財源(介護給付にあてるお金)が足りなくなったらどうなるでしょう。

A.増税や保険料の増額などで財源を確保することになります。つまり、国民の負担が増えます。

 

冒頭で述べた「全員が当事者」とは、こういうことです。

今後、財源が逼迫するようなことがあれば、家計を圧迫する可能性が大いにあり得るのです。

 

さて、そこで気になるのが、要支援又は要介護認定者数の実情ですね。

結論から言えば、要支援認定者数と要介護認定者の割合は、65~74歳人口のうち1.4%と3.0%、75歳以上人口のうち8.9%と23.4%であり、年々増加しています。

下のグラフをご覧ください。

令和5年版高齢社会白書に掲載されている、厚生労働省が発表した要介護度別認定者数の推移です。

令和元年度の時点で要支援または要介護の認定をうけた人は655.8万人となっています。更に、平成21年度から令和元年度まで、その人数は右肩上がりであることが分かります。

また、厚生労働省が公開している資料に、「介護保険制度をめぐる最近の動向について」というものがあります。この資料によると、やはりと言いますか、認定者数の増加と共に介護給付費(保険者側の負担額)も増加していることが分かります。

何度も述べている通り、これからも高齢化率は上昇していく見通しです。ともすれば、何か手を打たない限り、今後も要支援または要介護の認定者数は増加していくであろうことが容易に想像され、同時に介護給付費もさらに膨れ上がっていくものと考えられます。

そうなれば、国民一人ひとりの負担もどんどん増えていくでしょう。この現実にしっかり向き合う必要があります。

 

お金の問題だけではありません。

次の資料をご覧ください。

同居している主な介護者の介護時間を示したグラフです。こちらも令和5年版高齢社会白書に掲載されています。

こちらを見てみると、介護度が上がっていくに従って介護時間がどんどん増えていることが分かります。

特に要介護4を超えてくると、ほぼ半数以上の介護者が、ほとんど終日介護にあたっています。

総数で見れば、平成25年をピークに、ほとんど終日介護をしている介護者の割合は低下しています。これは一見するとポジティブな情報に思われますね。

しかしながら、先の要介護度別認定者数の推移から、平成25年から令和元年にかけて、要介護3以下の認定者数と要介護4以上の認定者数それぞれの増加率を計算してみると、介護度3以下は13.15%の増加であるのに対し、介護度4以上は7.46%の増加です。

割合的には、介護度が低い層の方が増加が著しいわけです。そして、介護度が低い方の介護者のほうが、介護にあたる時間は短い傾向にあります。

つまり、ほとんど終日介護をしている介護者は「相対的に減っているだけ」とも捉えられるのです。

もちろん介護サービスの質も年々増しています。その結果として介護時間が減少しているケースもあると思いますが、データ的には手放しで喜べる状況ではないと考えたほうが妥当なように思えます。

 

また、平成28年10月からの1年間で、介護を理由とした離職者は約9.9万人です(うち75.8%が女性)。この数字は平成24年以降、概ね横ばいです。

毎年10万人近くの労働者人口が労働の機会を失っていることは、当事者からしても、社会からしても、大きな損失であることは間違いないでしょう。

それだけ介護者の時間的負担が大きいことを示しています。

 

以上述べてきたように、いままさに介護に関わりのある方々は、介護においてお金と時間の問題に直面しています。

のみならず、いまは介護に直接的な関わりがない方々も、保険料や税金を納めることで介護の世界に関わっており、これから保険料の増額や増税が考えられる以上、決して無視できる状況ではないでしょう。

これが国内の介護の現況です。

 


課題と対策

課題の抽出

以上、令和5年版高齢社会白書の内容を確認していきました。

情報をまとめてみると、社会的課題として以下のような点があげられるのではないでしょうか。

  1. 高齢者1人を現役世代2人で支えている現状
  2. 今後も高齢化率は増加していく見通し
  3. 75歳以上の約3人に1人は要支援または要介護に認定
  4. 要支援または要介護に認定される人数は年々増加傾向
  5. 介護者の時間的負担が大きい
  6. 毎年10万人近くが介護を理由に離職している

こうしてみてみると、「今後も高齢化率が上昇していくことは受け入れつつ、いかに要支援・要介護に認定される割合を減らせるか」という視点が重要であるように思います。

『3.』をどうにかしていこうという発想ですね。

 

対策の検討

結局のところ、そもそも要支援・要介護に至らないように個々が努力をすることが、一番の対策となりそうです。

そのために、過去の事例から介護が必要になった原因を洗い出し、それをもとに早期から対策を行うことが解決の糸口となるのではないでしょうか。

次のグラフをご覧ください。

介護が必要となった主な原因を集計したものです。やはり令和5年版高齢社会白書に掲載されています。

これによると男女差はありますが、総数でみてみると最も多いのが認知症18.1%であり、以下、脳血管疾患15.0%、高齢による衰弱13.3%、骨折・転倒13.0%と続きます。

原因不明も相当数存在するようですが、これらの占める割合が多いことは間違いありません。

特に認知症と脳血管疾患。これらの予防が、最短の解決策といえそうです。

 

では、これらを予防するためには、具体的に何をすればよいのでしょうか。

読者の皆様のなかにも、健康診断などを通して「やれ運動しろ」だ「やれ睡眠をとれ」だ「やれ塩分と脂肪を減らせ」だと、指摘されたことがある方は少なくないと思います。「結局、このへんを徹底しろって言うんじゃないの?」と思われるのではないでしょうか。

 

その通りです。

捻りがなくて申し訳ないのですが、結局、ここに収束するのです。

 

ただ、具体的に何をどれくらいやればよいのか、明確に提示される機会はなかなか得られないのではないでしょうか。

これが問題です。

曖昧な状態で何となくウォーキングをしてみたり、早く布団に入ってみたり、野菜を多めに摂ってみたりしても、どれだけ効果があるのか不透明です。

 

目的の達成確率を上げるためには、しっかり手段を選ぶ必要があります。

海外に行くためには飛行機か船に乗らなければなりません。ずっと車に乗り続けていても、日本からは出られませんよね(車に乗ったまま船に乗るという荒業もあるかもしれませんが)。

 

その手段についてはここで解説すると長くなるので、今後、介護予防シリーズとして別記事にまとめていきたいと思います。

認知症は運動で予防(または進行予防)ができるのか、脳血管疾患予防や衰弱予防のためには何に気を付けたらよいのか。

最近の研究も参考に、いろいろな視点で解説していきたいと思いますので、ぜひそちらをご覧ください。

 


3.結語

今回は以上になります。

介護の世界において、日本が抱える問題が少しでもご理解頂けたなら幸いです。

しつこいようですが、全員が当事者です。

個人の健康と社会の健康のために、直面している問題にしっかり向き合って、その改善にむけた対策に取り組んでいきましょう。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 


4.参考文献

・内閣府:令和5年版高齢社会白書(https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2023/zenbun/05pdf_index.html)

・厚生労働省:介護保険制度をめぐる最近の動向について(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126734.html)

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